自然豊かなスコットランドを代表するハイキングトレイル「ウェストハイランドウェイ」(West Highland Way、通称WHW)。
技術的な難しさもないことからハイキング好きな人から、初めて長距離を歩いてみるという人など、幅広い層の人に親しまれているコースです。
今回は、私が2025年8月に全工程テント泊で挑戦した際の体験記を各セクション毎にご紹介します。
ぜひこれから挑戦する人や検討している方の参考となれば幸いです。
- 0日目:グラスゴー(Glasgow)
- 1日目:ミルンゲイヴィ(Milngavie) – ドライメン(Drymen)
- 2日目:ドライメン(Drymen) – ロワーデナン(Rowanden)
- 3日目:ロワーデナン(Rowanden) – インバーアーナン(Inverarnan)
- 4日目:インバーアーナン(Inverarnan) – ブリッジ・オブ・オーキー(Bridge of Orchy)
- 5日目:ブリッジ・オブ・オーキー(Bridge of Orchy) – キングスハウス(Kingshouse)
- 6日目:キングスハウス(Kingshouse) – キンロックリーバン(Kinlochleven)
- 7日目:キンロックリーバン(Kinlochleven) – フォート・ウィリアム(Fort William)
- 8日目:おまけーベンネイヴィス(Ben Nevis)
- まとめ
0日目:グラスゴー(Glasgow)
WHWスタート前日にスコットランド入りしグラスゴーに1泊しました。
スタート地点のミルガイまで行ってもよかったのですが、手頃なAirBnBがあったことと、持ち物の事前準備(食事等)をする上でお店のオプションが多い方がいいと考え、ここで一泊しました。グラスゴーはスコットランド最大の都市ということもあり、観光スポットや、お店・レストランの種類も豊富で、スコットランドに行くなら1,2日過ごすのにおすすめな街です。
1日目:ミルンゲイヴィ(Milngavie) – ドライメン(Drymen)
初日はまずグラスゴーの中心にあるクイーンストリート(Queen Street)駅から電車でスタート地点のあるミルガイ(Googleで表記が「ミルンゲイヴィ」となっていますが、発音は「ミルガイ」)へ向かいます。9時半頃出発する電車で、10時頃には到着しました。

ミルガイ駅から10分ほど街のメインストリートを歩いていくと、スタート地点が見えてきます。

ここでまずは記念写真。
スタート地点にはこれからWHWを歩く人たちがいて、お互いに頑張ろうと声をかけ合ったり、地元の人にも「Good luck!」と言ってもらえたりして、気合いが入りました。
初日はここからドライメン(Drymen)という小さな街までの19kmの距離、413mののぼりという全面フラットなコースです。
初めの3kmほどはマドック・カントリー・パーク(Mugdock Country Park)の中を歩き、カーベス(Carbeth)というエリアに到着します。

その後さらに3kmほど林の中を進むと道路に出ます。

ここから牧草地に入り、3kmほどくだりが続きます。


牧草地を抜けるとGlengoyne Distilleryというウイスキーの蒸溜所が見えてきます。


さらに2.5kmほど進むと「The Beach Tree」というカフェ・雑貨屋さんがあり、さらに1km進むと「Turnip the Beet」というカフェ・レストランがあるので、ここで休憩をとりました。


ここから3kmほど平坦な道を進むとガートネス(Gartness)という小さな村に出て、さらに4kmほど進むと、この日の宿泊地「Drymen Camping」に到着します。

テントが張れるエリアはそれほど広くありませんでしたが、シャワーやキッチンも綺麗で、過ごしやすいキャンプ場でした。
2日目:ドライメン(Drymen) – ロワーデナン(Rowanden)
2日目はドライメンからロワーデナンまでの23.5km、のぼり699mのルートを歩きます。
ドライメンからまずはガラードゥバン・フォレスト(Garadhban Forest)という林の中へ入っていきます。

7kmほど進むと牧草地に出ます。


ここから1.5kmほどのぼると、コニックヒル(Conic Hill)という丘の上に到着します。

頂上からは、海かと思うほど大きいローモンド湖と、反対側には山々が連なっていて、とても綺麗な景色が望めました。

ここは地元の人の観光スポットにもなっているようで、多く人がハイキングにきているようでした。
コニックヒルから2kmほど下っていくとバルマハ(Balmaha)という街に到着します。
ここには観光案内所やカフェ・レストラン、お土産屋さんなどもあり、観光客で賑わっていました。
この日は天気も良かったのでジェラートを食べましたが、とても美味しかったのでおすすめです。

この先、ローモンド湖沿いの道をひたすら12kmほど進んでいきます。
多少ののぼりくだりや森の中を出たり入ったりするものの、同じような景色が続くので、先に進んでいるか少し不安になりますが、一本道で迷う要素もないので、信じてひたすら歩いていきます。

5km進んだあたるでカシェル(Cashell)という割と広いキャンプ場があるので、ここでもまた一休みしました。
いくつかビーチを通りながら湖畔沿いを進んでいきます。

カシェル・キャンプサイトからさらに6kmほど歩くとこの日のキャンプ場「Lochan Maoil Dhuinne」に到着します。

この日はキャンプ場といっても管理区域内で、特にトイレなどの施設もないのところだったのでほぼワイルドキャンプでしたが、完全な自然の中で、ビーチのすぐそばということもあり、WHWの中でお気に入りの宿泊地となりました。

このエリアは管理区域内でワイルドキャンプは禁止となっているため、事前に宿泊許可を申請しておく必要があります。
下記ウェブサイト記載のメールアドレスから申請ができます。
https://www.lochlomond-trossachs.org/things-to-do/camping/get-a-permit
3日目:ロワーデナン(Rowanden) – インバーアーナン(Inverarnan)
3日目はロワーデナンからインバーアーナンまで23kmの距離、のぼり490mの道のりを進みます。
このセクションも引き続き、ローモンド湖沿いの道をひたすら北上していきます。
基本的には林の中の細い道を歩くイメージですが、所々岩や木の根が突出していたり、多少傾斜のある部分などもあり、雨が多く降った次の日などは滑ったりしないよう注意が必要です。


ロワーデナンから12kmほど進むとこのルートの中間地点である、インヴァスネイド(Inversnaid)に到着します。
滝の前の橋を渡るとホテルが見えてきますが、ここでは軽食やコーヒーも売っているので休憩にぴったりです。

残りの半分の道のりも基本的にはフラットですが、徐々にローモンド湖が小さくなっていき、右手には山が見えてきます。

ルート終盤の4kmほどのところで、湖から山へ向かうようにのぼりが続きますが、2kmほどでくだりとなり、橋が見えてきたらその先にキャンプ場「ベイングラス・キャンプサイト(Beinglas Campsite)」があります。

このキャンプ場は比較的広く、少人数で宿泊できるようなキャンピングポッドやロッジもありましたが、このキャンプ場はユスリカ(midges)が大量発生しており、洗面所やキッチンもこのせいであまり綺麗な環境ではありませんでした。
ユスリカは、この時期のスコットランドではよく知られている問題で、WHWに挑戦する上で最も留意しなければならないことの一つです。
「Smidges」というスプレー(刺されないための対策)は必須、ネット(視界を確保)を準備しておくと安心ですが、虫「除け」となる対策はひたすら動き続けることでしかありません。テントを張る時など、立ち止まらずに歩き回ることがポイントです。
4日目:インバーアーナン(Inverarnan) – ブリッジ・オブ・オーキー(Bridge of Orchy)
4日目はWHW中間地点のクリアンラリッチ(Crianlarich)を通り、ブリッジ・オブ・オーキーまで向かいます。
距離30.4km、のぼり1,094mという、一番長いセクションになりました。
途中のタインドラム(Tyndrum)という街までの20kmで区切り、次のセクションに残りの10kmを組み込む人もいましたが、天気とその先の道のりでの負荷を考慮し、この日なるべく進めるところまで進むことにしました。
キャンプ場を出て、緩やかな傾斜の舗装された道を2kmほど進んでいくと、牧草地が見えてきます。見晴らしの良い谷の中をまっすぐに歩いていきます。

途中川を渡りますが、クリアンラリッチまでの10kmは牧草地の中を羊に囲まれながら進んでいきます。
中間地点クリアンラリッチの分岐。

ここから北に向かって谷沿いに進んでいきます。
ところどころ林の中を通りながらも牧草地をひたすら10km弱進みます。

途中WHW名物とも言われるハイランド牛を見ることができます。

タインドラムに到着。ここにもキャンプ場があるので、一休みします。
この日はここから更に10km進み、ブリッジ・オブ・オーキーを目指します。
このあたりから雨が本降りになり、靴も完全に濡れた状態で、歩き続けてなければ寒く感じるほど体温も下がってきました。
スコットランドではよく雨が降るため、連日続く雨の中を歩き通せるような装備が不可欠です。
私が滞在した1週間で全く雨が降らなかったのは2日だけで、それ以外は降ったり止んだりか、一日中雨に降られることもありました。
そのため、充分に服や靴が乾かないまま歩き続けなければいけないことありました。
こうした場合も想定して、雨具の準備はもちろんのこと、衣類の選択やローテーションをよく考えながら体調を崩さないような装備を常に心がけることが重要です。
脇を走るスコットレールの線路と、A82号線に沿って歩いていきます。


10kmほどでブリッジ・オブ・オーキー駅に到着、線路の下をくぐると住宅やホテルが見えてきます。

ここから10mほどでブリッジ・オブ・オーキーの橋が見えてきます。

この脇に公共のキャンプエリアがあるので、この日はここでワイルドキャンプすることにしました。
5日目:ブリッジ・オブ・オーキー(Bridge of Orchy) – キングスハウス(Kingshouse)
5日目は距離19.6km、のぼり876mのセクションです。
※このルートは次のセクションであるキングスハウスまでですが、私はここより2-3km手前のキャンプ場「グレンコー・マウンテン・リゾート(Glencoe Mountain Resort)」に泊まりました。
ブリッジ・オブ・オーキーを出発し、また牧草地へ入っていきます。

2kmほど進んだ先にある丘の上からのトゥラ湖(Loch Tulla)の眺めが良かったです。

丘を下った1.5km先にはInveroran Hotelがあり、ここで給水ができます。

軽食なども売っていて、お店の人はとてもフレンドリーでした。
この日、朝は青空も見られるほど比較的良い天気でしたが、午後から雲行きが奇しくなり、終着点まで雨が降り続きました。
また進むにつれて徐々に風も出てきて、休憩しようにも風除けになるものが周りにない道のりが続いたため、休憩せずに歩き続けることにしました。

幸い、この日は比較的短いセクションだったため、13kmほど進むと宿泊地「グレンコー・マウンテン・リゾート・キャンプ・サイト(Glencoe Mountain Resort camp site)」が見えてきました。

スキー場に併設している施設で、夏の間もレストランやリフトを運営しているようでした。
シャワーは有料(5分£2)ですが綺麗に清掃してあり、乾燥室で靴や雨具を乾かすこともできたので快適に過ごせました。
6日目:キングスハウス(Kingshouse) – キンロックリーバン(Kinlochleven)
6日目は距離は15kmと短いものの、 “Devil’s Staircase(悪魔の階段)” と呼ばれる上り坂があり、またWHWで最も標高の高いポイントを通るのぼり523mのルートです。
このルートはハイカーだけでなく、ロードトリップなどでスコットランドに観光に訪れる人にも人気のグレンコー(Glencoe)を通り、歩きながら壮大な景色を楽しむことができるので、WHWのハイライトともいえるセクションです。
まずはキャンプ場グレンコー・マウンテン・リゾートからキングスハウスまで2kmほどの道を下り、A82号線沿いに谷を歩いていきます。

グレン・エティーブ(Glen Etive)とその周辺の山々がいかにもスコットランドらしい風景を作り出していて、何度も写真を撮ってしまうほど綺麗でした。

6kmほど歩いていくとDevil’s Staircaseの登山口に到着します。

ちなみに、この反対側に小さな白い家が建っていて、ここがビューポイントとなっているようで、多くの車が止まって写真を撮っていました。

2kmほど続く階段をひたすらのぼっていきます。
WHWで最もハードなセクションと言われていますが、高尾山稲荷山コースが登れたら問題ないレベルではないかと思います(傾斜よりも雨と風の中での体温調節が重要だと感じました)。

頂上は風が強く、ちょうど良い休憩ポイントも見当たらなかったので、先を進むことにしました。
この日も基本的に一日中雨だったので、残りの8kmも小休憩を挟みつつも歩き続けました。

ゴール前最後の宿泊地キンロックリーバン(Kinlochleven)はこれまで経由した中では大きい街で、レストランやパブなどもありました。

この日も「ブラックウォーター・ホステル, グランピング & キャンプサイト(Blackwater Hostel, Glamping & Campsite」というキャンプ場に泊まりましたが、川の近くということもあるのかユスリカが大量発生する場所でした(WHWで最も多かったかもしれません)。
ここはトイレやシャワーは綺麗でしたが、キッチンが屋外のエリアになっていてユスリカの問題があったので、調理後はテントの中に移動して基本的にあまり外に出ないようにする必要がありました。
7日目:キンロックリーバン(Kinlochleven) – フォート・ウィリアム(Fort William)
WHW最終日はキンロックリーバンを出発し、フォート・ウィリアムへ向かう24.8km、のぼり825mの道のりを進みます。
この日も午前中は天気が良かったため、早くキャンプ場を出発しました。

前半2kmはのぼりが続きますが、そのあとは15kmほどフラットな道となっており、またこのセクションも山に囲まれながら湖を見下す光景が眺められるので、景色を楽しみながら歩くことができます。


途中で廃墟があり、これもまた写真映えするスポットでした。

歩き続けていると、スコットランド最高峰であるベンネイヴィス(Ben Nevis)が見えてきます。

ベンネイヴィスに近づいていくにつれてWHWも終盤へと近づきます。

道路に出たらフォート・ウィリアムまでの残り8km、ひたすらくだります。
徐々に車通りも多くなり、ホテルや民宿が見えてきたらゴールももうすぐ。
街に入ったところで当初のWHWゴール地点のサインがあります。

現在の公式ゴール地点はさらに1.5kmほど進んだ街の中心地にあります。
記念に “Sore Feet” と呼ばれる銅像と一緒に写真を撮ってゴールをお祝いしましょう。

8日目:おまけーベンネイヴィス(Ben Nevis)
せっかくここまで来たのだから、最高峰ものぼりたい!ということで、翌日ベンネイヴィス登頂に挑戦しました。
この日はザックを置いてきたので荷物がない分ラクではありましたが、なんといっても風が強く、バランスをとりながら歩くのが大変でした。
また天気は相変わらず不安定で、麓は晴れているものの、頂上に近づくにつれて雨が降ったり止んだりしていました。
もし挑戦する場合は自分の体調と、天気予報をよく見て判断しましょう。
フォート・ウィリアムから登山口までは、歩くと40分ほどですが、バスを利用する場合はユースホステルまで乗り(約10分)、そこから徒歩15分で到着します。
ビジターセンターの脇の橋からスタートするため、わかりやすいです。
橋を渡り、牧場を超えていくと少しずつ上り坂となっていきます。傾斜はそれほどきつくなく、のぼっていくにつれて変わる景色を楽しみながら歩くことができます。

約4kmほどのぼると、鞍部に到着します。
ここに「Halfway Lochan」(中間地点にある池)と呼ばれる池があります。

この辺りからかなり風が強くなり、風除けもないため、向かい風が瞬間的に強く吹くときなどはなかなか足を前に踏み出せないほどでした。

池を後ろに少し進むと滝があり、水量が多い時は流れる水の中を歩かなければならないため注意が必要です。
このポイントは少し窪んでいて風除けにもなるため、多くの人が休憩場所にしていました。
あまりに人が多かったので私は先に進みましたが、この先なかなか風除けとなるポイントがなかったためできればここで休憩しておくことをおすすめします。
頂上付近はガレ場ののぼり道をジグザグに進んでいきます。

2.5kmほど続くガレ場を超えると岩場が現れ、その先をさらに1km進むと山頂に到着します。


この日の山頂はじっと立っていられないほどの強風で、少し雨も降っていたためすぐに下山しました。
挑戦する方は、天気だけでなく風の状況も確認の上、トライしてみてください。
まとめ
WHWは、誰でもスコットランドの自然を満喫することができるトレイルです。自分のレベルに合わせて計画することで、無理なくハイキングを楽しむことができ、またいつもと違った方法で挑戦したい人にもおすすめできます。
私にとっては、初めてバックパッキングに挑戦する機会となりましたが、このトレイルで実践して良かったと思います。
トレイル自体を楽しむだけでなく、キャンプなどの体験を通して、より自立したハイキング体験をすることができ、自然を身近に感じることができました。
このハイキングの概要やおおよその費用、ベストシーズンなどはこちらにまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。


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